WBC世界バンダム王者・山中慎介選手、13回目の防衛に失敗

WBC世界バンダム級王者・山中慎介選手が、13回目の防衛に失敗、王座から陥落しました。
相手はWBC世界バンダム級1位、メキシコのルイス・ネリ選手でした。

山中選手は強力な破壊力を持つワンツーが最大の売りです。
このワンツーでKOの山を築き、12回の世界王座防衛に成功してきました。
破壊力だけでなく、フットワークも巧みです。
フットワークで自分の力が発揮できる中間距離を保ちつつ、ワンツーを放り込むのが基本スタイルです。
反面、ガードが低いのが難点です。
頭ががら空きになっているため、フックがよく当たります。

山中選手に対するルイス・ネリ選手はフックの得意な選手です。
試合前にメキシコで取材した元3階級世界王者の長谷川穂積氏は、ネリ選手のフックに警鐘を鳴らしていました。
またネリ選手は、山中選手のように一撃の破壊力があるわけではありませんが、連打で畳み掛けることができます。
戦歴は23戦無敗17KO(山中戦前まで)というとても強そうな選手です。

試合開始から、距離を保ちつつパンチを交わしたり、ネリ選手が詰めてきて山中選手が対応するという展開になりました。
ネリ選手は、左右のフックを多用しており、これはまずいかもしれないと思いました。
また山中選手の必殺の左ストレートは、ネリ選手のスウェーにより威力を殺されていました。
ネリ選手の陣営は、相当山中選手の研究を積んできたことがわかります。

そして第4ラウンド、距離を詰めてきたネリ選手のフックが山中選手をとらえたのです。
ネリ選手は勝負勘に優れていたようで、さらに左右のフックを連打し、流れを掴みます。
一方の山中選手は防戦一方に追いやられてしまいました。
山中選手は1度くらいクリンチで逃れる場面もありましたが、その甲斐もなく再び連打に飲み込まれてしまいました。
第4ラウンド残り30秒あたりで、山中選手のセコンドがタオルを投入、TKO負けとなりました。
この瞬間、世界王座13連続防衛の夢も潰えました。
勝っていれば、かの具志堅用高氏が打ち立てた偉大な記録に並び、そして新記録の14連続防衛が見えたことでしょう。

残念な結果ではありますが、山中選手には再起・再戦して欲しいと思います。